

こうして作られてきた5曲による“招待状”にまるで封をするような役割を果たす「prologue」および「epilogue」ですが、どんなところから着想されましたか?
影響を受けていると言うのもおこがましいのですが、大好きな山下達郎さんが行われている“多重録音”が本当に素敵なんです。それから、大体のレコーディングでは事前に渡されたものを覚えて臨むのですが、『マクロスF』ではその場で初めて渡されたいろいろなハーモニーのラインを重ねていくという作業をすることが多くて、完成形を聴いて“こうなったんだ!”といつも新鮮に驚いていたことも心に残っています。それで、そんなふうに自分の声を重ねて空気感や世界観を作り上げられたらいいなという思いから、「equal」を作ってくださっている西脇辰弥さんにお願いしました。それ自体で何か訴えかけるというより、聞いていて気持ちの良いシャワーのようにしたくて“声を滝のようにしたいです”と相談しましたね。「epilogue」は「I AM」を収束させるかたちで作ってもらっています。
あと、実はもう一つきっかけがあります。私が最初の事務所に入って、まだ『マクロスF』でデビューする前の……なかなかどのレコード会社にも引っかからず、それでもコツコツとデモテープを作っていた時代のことです。ある曲のレコーディングで同じラインを重ねてユニゾンさせる手法を取ったとき、マネージャーさんが“ほら、この子の声は重ねるとものすごくポップになる”と言ってくださったんです。重なったときに独特の色がある、と。もう20年以上前の話ですが、そのことを鮮明に覚えていて“声だけで何かやってみたい”という思いはずっとありました。私はやはり声優でもあるので、声で楽しんで欲しいという気持ちが乗ったものにもなりましたね。
聞き手としても、中島さんの楽曲と共に過ごしてきた年月を愛おしみながら、また新たに重ねていく日々に向けて希望を持てるアルバムだと思いました。最後に、いよいよ発売を迎えるにあたってのお気持ちをお聞かせください。
移籍してこれまでとは異なる環境で制作していくからこそ、楽曲に関してはゆかりある方たちにお願いして、みなさんに安心してもらいたいという気持ちもあったんです。なので、そのように捉えていただけたならうれしいですし、これで“はじめまして”の作家さんたちとも楽曲を作っていく基盤ができたような気がします。
今は、自分が持っている素晴らしい楽曲たちのためにも、体調を鑑みつつ“長く活動していくためにどうするべきか”ということを考えていかなくてはいけないフェーズに突入したのかなと思っています。なかなか威勢よく拳をあげて“頑張っていくぞー!”とは言えない私ですが……そっと“歌い続けたいです”という気持ちを表明する一枚になりましたので、みなさんに届くことを願っています。