天使の憂鬱

作詞:春行 / 作曲&編曲:重永亮介

「天使の憂鬱」は、中島さんの歌手デビュー曲「天使になりたい」をテーマとし、同じ作家陣によって制作されました。

“天使になりたかった時代”を経た後日談のようなイメージで作ってもらいました。あの頃、19歳くらいだった私は“不完全なおとなたち”を指さしながら歌っていたわけですが、気がつけば自分もそちら側にいて、励ましてもらう立場になっていたんです。作曲の重永亮介さんには“音と音がぶつかって気持ち悪いようなところがあってもいい、どこか壊れているくらいがちょうど良いと思っている”ということ、作詞の春行さんには“ネガティブにしたいわけではないけど、元気がなければ歌えない曲にはしたくない”といった話をしています。さらに言うと、作家陣だけでなく、レコーディングのディレクターもデビュー当時担当してくださっていた方にお願いすることが叶いました。私が自分で自分のダメなところを探しながらジャッジしていくタイプなのに対して、とにかく褒め倒してくださる方で“この感じ、久しぶり!”と原点に返った思いで歌わせてもらいましたね。

もともと「天使になりたい」は“もう一人の自分”であるランカとどう歩んでいくかということがテーマになっていたのですが、ランカのイメージとは裏を返したアンニュイな曲調で、笑顔なしで歌わせてもらえたことに救われる思いがしていました。この曲でも“もう一人の自分”というワードが出てきますが、それはランカから私への問いかけでもあるし、あの曲を聴いて同じときを過ごしてきたみなさんに私から問いかける意味合いもあると思っています。

I AM

作詞:May’n / 作曲:May’n・加藤裕介 / 編曲:加藤裕介

そして「I AM」は、アーティスト仲間であるMay'nさんの提供曲です。今年6月に開催されたライブ『中島愛 Live 2025 〜invitation〜』でこの曲を初披露した後“私が歌う理由は、みなさんです”と伝えられましたね。

ポジティブなことを言うのが基本的に恥ずかしい人なので、自分でも“わーっ、何てことを言ったの私!”と、本編終了後舞台袖で頭を抱えていました(笑)。でも、この曲を歌っているときに泣いているお客さんたちがすごく目に入って……。いつもは心の中に秘めていて、たまに取り出して愛でてはしまい込む宝石のような思いがこぼれ落ちてしまったのだと思います。May'nちゃんは気持ちをまっすぐに伝えられる人だから、そのパワーが宿る楽曲に誘発されたことは間違いありません。歌詞を見ると、最初の方は“歌う理由を考えているけど……”とMay'nちゃんに弱音を吐いているときの私そのものなのですが、でも最後には“歌おう”と奮い立たせてくれるところに、いつもMay'nちゃんが言ってくれる“でも、めぐみちゃんには歌っていて欲しいけどな”という思いが込められているように感じました。

今年5月に開催されたMay'nちゃんとシェリルさんのライブを観覧させてもらったときに、私が“May'nちゃんの「WE ARE」を聴いているときはひとりじゃないと思えるよ”という感想を送ったことがきっかけで、それまで作っていたものを没にしていちから作り直してくれた曲だと知って驚きました。私は、根本の部分に“人は絶対的にひとりだ”という思いがあるんです。それは、家族が痛みや苦しみを訴えても代わってあげられない、どんなにそばにいて願っても人は痛みを分かち合えないということを子供の頃から実感していたことにも起因する根深いものです。でも、May'nちゃんの歌声を聴いてるときだけは不思議と揺らいでしまうんですね。

私は“人生のターニングポイント”を聞かれたときに“『マクロスF』と出会えたこと”と答えることが多いのですが、今回のプロジェクトを考え始めたとき、“May'nちゃんと出会えたこと”だったんじゃないかと気づきました。幼い頃から自分自身を癒やしたり楽しませるために歌っていたし、その力を磨きたいという安直な思いで無料でレッスンが受けられる事務所に入ったし……そもそも私は誰かと音楽を共有するということには興味がありませんでした。音楽ファンとしても、一人で深く潜って解釈を広げて満足するタイプなんです。でも、同じ年で性格のまったく違うMay'nちゃんと『マクロスF』で共同作業するようになって、音楽には外向きな面もあることを初めて知ったんです。それで、この『inivitation』の締め括りにはMay'nちゃんに書いてもらった曲が必要だと思い“May'nちゃんから見た中島愛”を書いてもらいたいとお願いしました。さらに歌のディレクションまで引き受けてくれて、持ち前の音楽に対する愛情の深さとコミュ力で、私らしいところは残しながらも新しい表現の仕方を引き出してくれたことに本当に感謝しています。