

「くちびるの奥の宇宙」は“地元”をテーマに、ご自身が作詞されました。上京する前の、ただ歌うことが好きだった純粋な少女時代の思いが浮かび上がります。
『中島愛 15th Anniversary Live 〜イヴは水戸!〜』と題して、出身地の茨城県水戸市でアコースティックライブをすることになり、来てくれた方のお土産になるといいなと思って作った曲です。以前『Curiosity』というアルバムを手掛けてくださった日本が誇る名プロデューサーの田村充義さんに“歌詞を書きたくないです。言いたいことがひとつもないんです”と訴えたとき“それなら〝言いたいことがない〟というテーマで書けばいいんだよ”と言われて衝撃を受けたのですが、ついにそのときがやってきたと思いました(笑)。作曲編曲は、そんな田村さんに添削していただきながら何とか自分で歌詞を書き上げた「愛を灯して」という曲を作ってくださった坂東邑真さんに再びお願いしました。
私はとにかく“言いたいことがない!”で押し切るぞ、という強い気持ちを持って書いたのですが、地元をテーマにしたことで必然的におっしゃっていただいたような面が表現されたところもありますね。私は自分のことを話すのが本当に苦手で、基本的に誰にも見られたくないし、そっとしておいてくれと思っているんです。でも、そうは見えないと言われるのは“声優たるもの、どうにか言いたいことを見つけ出して話さなければならない”という意識を持って頑張ってきたからなんですよ。たった18年ではありますが、人生の礎となる地元で過ごしていた口下手だった頃の自分、歌でしか自己表現ができない頃の自分というものが込められた曲になりました。
「リルロマンティック feat.GUMI」は、中島さんの声をもとに開発されたボーカロイド音源MegpoidのキャラクターであるGUMIとの初めてのデュエット曲です。
私は、GUMIの曲のカバーをしないと決めていました。ボーカロイドに抵抗があったわけではなく、我が物顔で絡んでいくよりもGUMIが一人のアーティストとして独り立ちした方が良いだろうなと思っていたからです。そして、発売から15周年を迎えたことをお祝いするために何ができるだろうと考えたときに思いついたのが、デュエットでした。“=”でつながるキャラクターがいる人が少ないのと同じくらい、自分の声とデュエットできる人も限られていますよね。あえて距離を置いたことで“GUMIは知っているけど、声の人は知らない”という方も多くなっているし、GUMIがGUMIとして有名になってくれたからこそ、満を持して一緒に歌えたのだと思います。
GUMIとのガールズトークをイメージして、デビュー当初に「Shining on」「Raspberry Kiss」といったフレッシュなラブソングや応援ソングを書いてくださっていたKanako Katoさんに作詞をお願いしました。“GUMI”というのは、小学生のときに特別な友だちが呼んでくれたあだ名なのですが、その子と鉄棒で遊びながら無邪気に話していた思い出がよみがえるようです。⻄脇辰弥さんが作曲・編曲をされているのを意外に感じられる方も多いと思いますが、実はボーカロイドとも縁が深い方なんですよ。みなさんがイメージするボーカロイドのデジタル感を出すために、あえて少し古いバージョンのMegpoidを使い、先に歌ってくれたGUMIのトーンを活かすように私も歌い方を組み立てていきました。手探りでしたが、本当に楽しかったです。
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